移住者と地元の人とのつながりの場をつくる、移住・定住イベント「MEETUP!SAGA(移住者の集い)」。
今年度第二弾を令和3年12月4日(土曜日)に吉野ヶ里町にて開催いたしました。
主催の特定非営利活動法人灯す屋様より、当日のイベント体験レポートをいただきましたのでご紹介いたします。
2021年12月4日(土曜日)。寒い日が続いた中、お天気に恵まれ散歩日和となったこの日。
今年度2回目となるMEETUP! SAGAは吉野ヶ里からお届けします。
開催地となる吉野ヶ里町。
吉野ヶ里といえば有名な「吉野ヶ里遺跡」があります。
弥生時代の(または、約2千年前の)暮らしの跡が残るこの町には、今はどんな暮らしがあるのでしょうか。
吉野ヶ里の今にダイブしてきました。
繋がりを生む“まちの寄合所”へ集合
集合時間は午後1:30。集合場所であるOK COFFEE Saga Roasteryの前に、続々と参加者が集まってきました。
参加の理由は人それぞれ。佐賀を気に入り引っ越してきた人や就農した人、パートナーの転勤で佐賀にきた人など、いろんな方が集まっています。
中には、前回のMEETUP! SAGA 小城編に参加してくださったリピーターさんもいらっしゃいました!
今回の案内人は、OK COFFEE Saga Roasteryのオーナーであり、株式会社アイテクの社長も務める福山徹さんです。
白いパーカーで身を包み、爽やかに登場する福山さん。運動神経が良さそうな雰囲気が漂います。
集合と同時に、みんなでまち歩き用のドリンクをオーダーします。
実はこのコーヒー、学生時代にバックパッカーをしていた時に出会った友人から豆を仕入れているのだそう。出会いを大切にする福山さんのスタイルを感じ取ることができます。
一杯390円というお手軽な値段で提供されるコーヒーですが、しっかりピッキングされ、品質管理も徹底されています。老若男女が立ち寄りやすいように、そして気軽に訪れて出会いを楽しんでほしいからこそ、この価格にしているのだとか。
全員の手元にドリンクが行き渡り、福山さんから自己紹介が始まります。
福山さんが社長を務める株式会社アイテクは、おじいさんの代から続く、印材の全国シェアNo. 1を誇る町の印材工場。
小さい頃からずっと住んでいたまちが廃れていることを残念に思うと同時に、何か町に貢献したいと思うようになったそうです。
“コーヒーなどのドリンクのみを提供しているのも、うちだけでなく近くの飲食店にも足を運んでほしいから。だからこのビジネスモデルなんです。”
そう話しているこのOK COFFEEの店舗は元々新聞の集荷場。そして駐車場に使われている土地は、元々は喫茶ブルボンという喫茶店。
“今ここでカフェをやれているのも何か因果がある。” これまでの歴史や繋がりを大切にしている福山さんの姿勢が見えました。
今では全国にコーヒー豆を販売されているOK COFFEEですが、2年前は全く想像もしていなかったとのこと。
近隣にオフィスを構えることになった事業者さんが全国にコーヒーを届けてくれたり、近くのカレーとお菓子のお店と協力したりと、さまざまな出会いによって地域の輪が生まれた結果のようです。
“魅力的でコンテンツ一つ一つが際立っているお店が多いので楽しんでください!”
福山さんのこの言葉を皮切りに、ドリンクを片手に、まちへ繰り出します!
繋がりが見える吉野ヶ里のまちあるきスタート
店を出て吉野ヶ里公園駅側に進むと、商工会に所属したことで友達になったという牛乳屋さんが。
OK COFFEEの2階は、実はこの牛乳屋さんのコールセンター。
“一つの店舗では家賃などの負担が大きいかもしれないが、協力して互いの負担を減らすこともできる。” 今後お店を構えたい人の参考になるアドバイスです。
OK COFFEEのある通りは、元々、吉田商店街という商店街だったようです。
旧三田川村があった時代、軍事輸送のために作られた駅が今の吉野ヶ里公園駅の発祥。
そしてそこから延びた商店街。これには思わず参加者の方も驚いた様子でした。
まちの歴史を紐解くと、当たり前だと思っていた街並みがつくられた背景が浮かび上がってくるところが面白いところです。
横断歩道を渡り、一つ目の店舗である【三田川ホルモン】さんへ!
三田川という旧町の名残を残した、数少ないお店です。
“何回も言いますが、ここの新鮮なモツは本当に美味しい。是非食べてみてください。”
地元の人にこう言わせるお店は、間違いなく美味しい。お試しあれ!
三田川ホルモンから34号線沿いを西へ歩みを進めます。
歩く最中、道端に落ちたゴミを拾っていく福山さんの姿がとても印象的でした!
心地よくまちで暮らすためにも心がけたいことですね。
そして2店舗目の【三田川饅頭・中島屋本舗】さんへ!
ここにも三田川の文字が。
お店に入ると店主さんから“若い人たちにどんどん頑張っていってほしい”と激励の言葉が福山さんにかけられました。福山さんたちの頑張りによって、地域に若い人たちが入ってきやすい状況ができていることが分かります。
そして、福山さんの出身校であり、グラウンドが全面天然芝になっている(羨ましい!)三田川小を横目に、次のお店へ。
まち歩き最後のお店は【せなふち。】さん。
“お店入れるかな〜”と、様子を伺う福山さん。
それもそのはず。今年の5月にオープンしたのち、2週間後に某テレビ番組に出演したことでSNSのフォロワー数が6000人も増えたお店なのです。
姉の史(ふみ)さんがカレー。妹のちはるさんがお菓子を担当する。いくつものスパイスを調合しているカレーと、小麦粉からこだわっているというお菓子の組み合わせは抜群です。
※イベント前にカレーをテイクアウトしていただきました!
店舗を構える前から、数多くのイベントに出店し、その頃からファンがついていたというせなふち。さん。店名は家族の頭文字をとってつけたそう。DIYでつくりあげた店内のおしゃれな雰囲気も相まって、とても温かな空気を感じます。
今回はお姉さんの史さんがお話ししてくださいました。
少し緊張気味の史さん。地元が吉野ヶ里なのでここにお店を建てたとのこと。
“OK COFFEEの皆さんをはじめ、周囲の方がとても温かく、とても楽しいですっ!!”と素敵な笑顔でした。
今後やっていきたいことを教えてくださいとの質問に対して「最近カレーとお菓子のセットメニューを作ったので、お菓子もカレーも楽しみやすくなります!」と史さん。
ふるさと納税の返礼品として自宅で楽しめるスパイスセットなどを用意していくことも考えているそう。今後がますます楽しみです。
“知り合いが来て、子どもたちが集う。チェーン店じゃできないことですね”と福山さん。
温かい繋がりが感じられた吉野ヶ里のまちあるき。
そして、最後はOK COFFEEの焙煎所へ。
焙煎所に集まる様子。ふかふかの人工芝が気持ちいい。
焙煎所で見つける吉野ヶ里の新たな動き
ここで、第2部の交流会の始まりです!
司会に嬉野の旅館 大村屋の北川さんをお招きし、スタート。
まずは、参加者の自己紹介とまちあるきの感想を一人ずつ発表します。
子連れの方も安心して参加できるアットホームな雰囲気。
隣町でありながらも吉野ヶ里町の動きを感じている方もちらほら。
繋がりが多くて今後が楽しみという感想も聞くことができました。
いよいよフリートーク。
「コーヒーというものを使って、うまくクリエイターさんと繋がられてると思うんですが、これは自然になんでしょうか?それとも偶然?」と北川さん。
福山さん「スティーブ・ジョブズの”Connecting the dots”という言葉が好きで。(笑)」
北川さん「また大きな人が出てきましたね。(笑)」
福山さん「今は点かもしれないけどいつか何かしたい時に線となり繋がる時がくる、という意味なんです。」
2012年に大阪で出会った友人が、カフェをやっていることを知っていた福山さん。まちのために何かしたい、コーヒー屋さんをしたいと漠然と相談をしてみたところ、一緒にサービスをつくるようになり、現在の事業パートナーになっているとのこと。
離れていてもSNSで気にかけたり、何か手伝ったりという一つの一つの点が今に繋がっているようです。改めて、私自身も一つ一つの出会いを大切にしていきたいと思った瞬間でした。
吉野ヶ里で今後やっていきたいことはありますか?という質問に対し、あたらしい人たちを受け入れることができる体制をつくっていきたい、と答える福山さん。
「旗振り役となり、僕に相談すれば面白いことができる、と感じてもらえるようになりたい。」と頼もしい一言。
会場のみなさんは真剣な眼差しに。
OK COFFEEの店内には人が対話しやすい設計を用意しているのだとか。
縁側のようなスペースは、店の中の人と外の人がお互いの顔を見れるようになっています。
ドリンクだけを提供しているのも、話すことに重点を置けるようにしたいからなのだそう。
細かな工夫がこの居心地の良い空間をつくっていることがわかります。
とはいえ、ただ店舗だけが増えていくことには危惧を抱いているようでした。
住んでいる人たちの満足度が高いことが何よりも大事です。と福山さん。
吉野ヶ里の未来は、とても明るいようです!
隣町・神埼市からの参加者からは「起点となる1店舗があり、せなふち。さんなどと協力しエリア全体の魅力が上がっていることに、可能性を感じました」という声が。
これに対し、「一緒にやりましょうよ。」と福山さん。
前のめりな福山さんと灯す屋代表の佐々木。
行政区分で分けることなく、自然な関係が生まれる生活の中で手を取り合っていくことが求められているのかもしれません。
会話を重ね、見えてきた暮らしのヒント
そして、会は終盤へ。
「今のこの瞬間のまちの姿が全てではない。吉野ヶ里は弥生時代からあるまち。今後なくなるお店もあるかもしれないけれど、そんな変化すらも楽しむ視点を持っていただけたのなら嬉しい。」
と福山さんは締めくくります。
「住むだけじゃ心は満たされない。」参加者のそんな一言に会場は共感に包まれます。
住むと暮らすは違う。
地域の方々とのコミュニケーションがあってこそ、住むが暮らすに変わる。
暮らすことで、その地域の人たちとの間に心の繋がりが生まれるから、安心できる。
参加してくださった方の言葉に、私もハッとする感覚を覚えました。
暮らしの光である新たな動きと人の温かさを肌で感じることができた、MEETUP! SAGA 吉野ヶ里編。
このレポートを読んでくださったみなさんも、ぜひ地域の人たちとの出会いを楽しんでみては??
ぜひ吉野ヶ里を訪れる際は、まずはOK COFFEEへ!
文責:NPO法人灯す屋 石橋 真太
写真:有田町役場まちづくり課 地域おこし協力隊 壱岐 成太郎