実現したのは、「起業」と「らしさ」
橋本 高志 さん
大阪府→基山町
- 移住種別Iターン
- 移住の時期2015年
- お仕事ゲストハウス「TIPS HOSTEL」 経営
基山町へ移り住むきっかけ
仕事を続けていると訪れる、節目のとき。ふと立ち止まり、状況を俯瞰して自分と向き合ったら、朧気な未来が見えてきた。18から飲食業界に入ってサービスの仕事に惹かれ、やがてホテルへと職場を移す。30を過ぎて「自分の宿をつくりたい。でも、今すぐじゃなくてもいい」そんな風に考えることが増えた。たぶん、自分には多くの要素が不足しているだろう。資金や人脈、知恵、経験、世の中のこと。無茶をするリスクに及び腰な自分にとって、ひょっとしたらこれは最良の選択肢なんじゃないかと、地域おこし協力隊を知ったときにそう思った。「地域活動をしながら定住を目指す3年間」にはきっとポジティブな出会いがあって、それが今の不足を補う何かに変わって、もしかしたら地域の役に立てるかもしれない。これは、自分への猶予でありチャレンジだった。
全国に求人がある地域おこし協力隊。各地の情報を収集していたところ、基山町にたどり着いた。都会での生活に慣れた自分が、いきなり農村地域や離島で暮らすのは想像できなかったし不安もあった。基山町は博多まで電車で約25分、とても近い。それでいて自然もたくさんあって都会と田舎を程よく味わうことができる。周辺は鳥栖JCTを中心に九州じゅうのヒトとモノが交錯するエリアで、コトを起こすのにふさわしいポテンシャルも感じた。任期中は地域の方と交流していくなかで人脈もできたし、地域に馴染むことができた。縁もゆかりもない自分に親切にしてくれる人たちには本当に感謝しかない。退任後、スムーズに宿(ゲストハウス)の開業を実現できたのも、みんなの支えがあったから。
移住して変わったこと
人から「丸くなった」と言われるようになった。パーソナルスペースがきちんと確保されるようになったことで、ストレスが減ったからだろう。都会は人間関係が疎遠、一方の田舎は濃密で近すぎると言われがち。基山はそのどちらも該当せず、温かいコミュニケーションの中にも適度な余白をキープすることができる。人とのふさわしい距離感が、心のコンディションを整えてくれている。
反対に、変わらないこともある。確かにいわゆる「地方」には来たけれど、不便になったと感じたことがない。大阪にいた頃と同じ生活ができるのは、基山町が決して田舎ではないから。とくに、優れた都心へのアクセスは移住して間もない頃にとても助けられた。欲しいものは買えるし、見たいものは見られる。今までのライフスタイルをひとつも変えることなく、新しい生活がスタートできた。
これから移住を考えている方へ
何かを実現させる可能性を地域に見出しながら、資金や人脈、場所などの土壌がない方は多いと思う。地域おこし協力隊制度はその部分をいくらか補ってくれるし、行政という民間では会得できない視点も持てる。もし、自身と地域との間で方向性がマッチングする場合はぜひおすすめしたい。基山町は、都会的な暮らしと田舎暮らしを両方味わいたい方にぴったり。両極端は困るという方にぜひ一度体感してもらいたい。その際、宿泊のご予約は公式サイトへ(笑)